光造形の歴史 


光造形の歴史は、元(株)東芝の知的財産部の北口氏 によって詳細に報告された。北口氏のホームページから内容を転載してここに示す以下、概要を示す。

 光造形は、日本人によって発明された数少ない技術の一つである。この技術は、(a)半導体の生産技術、(b) 印刷技術、(c) CAD技術の3つの技術分野の統合から生まれた。この歴史は、当時名古屋工業研究所に勤務していた小玉秀男氏の日本特許出願に始まる。

 小玉氏は、光造形の基本発明を1980年4月12日付けで出願した。この発明は1981年11月20日に出願公開されたが審査請求が行われず、一般が自由に使える技術となった。小玉は出願した1980年の10月には電気通信学会論文誌に論文としてまとめて詳細を発表し、さらに、翌年にはReview of Scientific Instrumentに投稿し世界にその技術の斬新さを知らしめた。

 なお、小玉氏はこの功績が認められ1996年英国のランク財団よりユニークな発明に対して授与するランク賞を受賞している。

 1982年には米国3M社のA. J. Herbert氏が独立して小玉の論文とほぼ同様で詳細な研究結果をPhotographic Engineering に発表した。

 後に、実用装置を開発した丸谷氏やC. W. Hull氏の出願特許の内容は、前記の先人(小玉とHerbert)の論文に殆ど記載されていた。そのため、丸谷やHullの権利は小玉、Herbertの先行技術により、狭い範囲に減縮された。


 以下に、光造形の発明の歴史を簡単に整理して示す。

  • 昭和55年(1980)4月12日 特許出願「立体図形作成装置」発明者: 小玉秀男(名古屋市工研) (昭和56年11月20日公開)
  • 昭和55年(1980)10月7日 電気通信学会論文誌 投稿、小玉秀男 (昭和56年4月発刊)
  • 昭和56年(1981)2月10日 Review of Scientific Instruments 投稿、小玉秀男 (昭和56年8月2日受理、昭和57年11月発刊)
  • 昭和57年(1981)12月1日 Photographic Engineering 投稿、A. J. Herbert (昭和58年5月18日受理、昭和58年8月発刊)
  • 昭和59年(1984)5月23日 特許出願「光学的造形法」発明者: 丸谷洋二(大阪府立総研) (昭和60年12月7日公開)
  • 中川威雄(東大生研) 論文発表
  • 1984 C. Hull (UVP=3Dsystems) 米国特許出願
  • 1987 3Dsystems 世界初の実用機 SLA-1を製品化
  • 1988 三菱商事 丸谷の技術に基づきSOUPを発売
  • 1989 ソニー・JSR SCSを発売
  • 1989 3Dsystems SLA-250発売
  • 1992 帝人製機 SOLIFORM発売
  • 1992〜94 多数社 参入 現在 世界で十数社
  • 2000 帝人製機 NTT-Data CMETの買収、ヘリシスの撤退
  • 3D Systems社、DTMの買収発表、vanticoとの契約解消へ
  • 豊田通商、豊田工機、キラが販社Dicoを設立
  • SONYがUS市場に進出、豊田工機の撤退